通勤時間、電車の待ち時間、商談相手を待つ時間。いくら効率よく時間を活用しているつもりでも、1日のうちには活用できていない隙間時間が結構発生してしまいます。
こうした隙間時間を上手に仕事に活用できたら……。多くのビジネスマンはそう考えることでしょう。実際に隙間時間の活用法に関するハウツー本なども書店に数多く並んでいますし、インターネット上でもさまざまなノウハウが紹介されています。
しかし、手当たり次第に隙間時間の活用術を導入すればいいというものではありません。たとえば、隙間時間の活用に最適と思われるスマートフォン。しかし実際には、ただぼんやりとゲームをやったりSNSをのぞいたり、結果としてムダにしている時間も少なくないはずです。
隙間時間を本当の意味で有効活用するためには、「隙間時間にやること」を増やすだけでなく、「時間を使う」ということのクオリティを高めることも考える必要もあるのではないでしょうか。
ある調査によれば、「1日あたり平均1時間程度」ともいわれるビジネスマンの隙間時間。もちろん個人差はあるでしょうが、「よく考えてみると、それくらいの時間はムダにしているかもしれないな」と思い当たる人も多いのではないでしょうか。
では、あなたには1日にどれくらいの隙間時間があるのでしょうか。また、それらの隙間時間はいつ、何分間くらいのスパンで発生しているのでしょうか。数日間かけて、それらの隙間時間をメモに書き出してみましょう。3分、5分と断片化した隙間時間が相当数見つかるはずです。あるいは10~20分というまとまった隙間時間も見つかるかもしれません。
次に、あなたがオンタイムで日常的にこなしている、「1分以内にできる仕事」「3分程度でできる仕事」などをリストに書き出してみましょう。メールチェック、名刺の整理、手帳やメモの整理、スケジューリングなど、数分で完結できる仕事も少なくないはずです。こうした仕事に対して「隙間時間にやる。オンタイムにはやらない」という自己ルールを設け、習慣づけていきましょう。
また日常的に10~20分のまとまった時間をかけてやっている仕事についても、「1分単位や5分単位に分解して、少しずつ処理する方法はないか?」と検討をしてみてください。たとえば「メールの整理にはある程度まとまった時間が必要だから隙間時間では無理」と思っていても、「待てよ。ムダなメールを削除したり、重要なメールのなかにまぎれ込むプライオリティの低いメールをフィルタリングしたりといった簡単な作業なら、数分間の隙間時間でできるな」という発見があるかもしれません。
分割できる仕事はできるだけ分割し、隙間時間に細かく処理していくことで、重要な仕事に対して十分な時間を割り当てられるようになるでしょう。
大阪府大東市にある山田製作所という製造業の会社では「整理・整頓・清掃」の3S運動を徹底しており、海外視察団を含む多くの会社が工場見学に来るといいます。
山田製作所では、工具類はすべて定位置・定方向・定量にそろえられ、事務所の机には引き出しがなく、文具類はすべて共有化されています。こうした努力の結果「探し物を探す」というムダな時間の排除に成功しました。
こうした3S運動は、製造業のみならず、一般のオフィスやビジネスマン個人にとっても参考になる点が多いのではないでしょうか。
「断捨離(身の回りからムダなものを省き、シンプルな生活をすること)」という言葉にも通じますが、身の回りに本当に必要なモノだけを置き、それらがいつでもすぐに使えるよう整理整頓しておくことで、整理整頓に費やす時間よりもはるかに多くの時間を有効に活用できるかもしれません。
たとえば、1日1回、2~3分程度の隙間時間を身の回りの整理整頓にあてる習慣をつけるだけでも、今まで探し物でムダにしていたビジネスタイムを有効活用できるようになるでしょう。
隙間時間を有効活用するためには、「いつまでに○○を達成する」という、タイムリミットを定めた明確な短~中期目標を設定することも有効です。こうした目標を設定することで、「目標達成のためには、いつまでに何をやらなくてはいけないか」というスケジュールの逆算ができるようになります。
時間が限られることで、「あれもやりたい、これもやりたい」という状況から「これはやろう。あれは無理だからあきらめよう」というふうに仕事の仕分けをせざるを得なくなり、結果的にプライオリティの高い仕事の順に隙間時間を割り当てていけるようになるでしょう。
20分以上のまとまった隙間時間は、断片的な仕事に費やすのではなく、もっと密度の高い使い方をしたいものです。たとえば、客先訪問や人と会うまでの空き時間は、カフェや喫茶店、ファミリーレストランなどで精神を集中し、「今日の商談をどう進めるか?」といったシミュレーションに費やすのもいいかもしれません。
また、そうした時間をビジネス書や教養書などの読書にあてるのも素晴らしいプランです。インターネットや新聞・雑誌などをチェックして情報収集をしてもいいでしょう。漠然と頭にあるビジネスプランを可視化してみたり、プレゼンテーション資料の下書きをしたりといった創造的な仕事も、20~30分あれば一定の進捗がみられるのではないでしょうか。
ただし、こうした自己投資や創造的な仕事に費やす時間は、時間の長さだけではなく、作業に没頭できる環境も大切です。たとえば、カフェやファミレスなどでもザワザワとした場所やインターネットのつながりにくい場所などでは作業に没頭できません。
作業に集中できるという点では、最近ではコワーキングスペースが注目を集めています。図書館のような共有スペースで実務を行なうことができ、Wi-Fiなどの環境が整っていたりコミュニティとしてイベントを開催したりと、フリーランスの方を中心として人気が高まっています。
しかし隙間時間を活用しようという場合には、カフェなどと比べると拠点の少なさが課題となります。コワーキングスペースまでの移動時間が30分かかってしまう場合は20分の隙間時間を活用しようとしても矛盾が生まれてしまうので注意が必要です
移動時間の長い営業中心のビジネスマンの方やフリーランスの方などにとっては、「自分の行動半径のなかに作業に没頭できる環境を持つ」ことも隙間時間の有効活用に必要不可欠ではないでしょうか。
オフィスへの行き帰りに勉強時間を設けたり、仕事に没頭できるスポットでアイディアを練ったり、カフェでリフレッシュして創造的な仕事に取り組んだりといった、用途に応じてクオリティの高い時間を過ごせる場所を確保しておくことが重要でしょう。高速インターネット回線にWi-Fi環境、情報収集のための雑誌類、モチベーションを高める高品質なインテリアや美味しいコーヒーなども備えていればいうことはありません。
このような環境をうまく活用することで、本当の意味で有意義な空き時間の活用を実現していただけるのではないでしょうか。
この記事の執筆者:
日本リージャスホールディングス株式会社
世界120カ国、3,300拠点、ユーザー数800万人のネットワークを有するフレキシブルオフィスの最大手、リージャスグループ(IWG社)。その日本国内事業展開を担う日本リージャスホールディングス株式会社は、1998年の事業開始から現在までに47都市、172拠点(2022年6月末時点)を開設してきました。その強みは出店地域の特性に応じて様々なタイプのフレキシブルオフィスブランドを展開している点です。国内のリージャスは、高級ブランド「Signature」(シグネチャー)、コミュニティ型の「SPACES」(スペーシズ)、ハイグレードな「Regus」(リージャス)、リズナブルな「オープンオフィス」、交通機関隣接型「リージャスエクスプレス」の5ブランドを展開し、多くの皆様に快適なフレキシブルオフィスを提供しています。